30平米の屋根裏部屋を4人家族が快適に滞在できる部屋にリノベーション
普段はルクセンブルクに暮らしているイタリア人の4人家族。大好きなローマの人気地区に小さな部屋を手に入れて、里帰りしたときの快適な「基地」にリノベーションしました。
歴史あるローマの中でもトラステヴェーレ地区はとくに有名で、人気の高い住宅地でもある。マカロニウエスタン映画で知られるセルジオ・レオーネ監督など、この地区に暮らしたアーティストは数多い。今回ご紹介する30平方メートルほどの屋根裏アパートメントのオーナーは、ふだんはルクセンブルクに住んでいるイタリア人の4人家族。しかしつい最近まで、ここはただ暗く狭苦しい空間に過ぎなかった。
屋根裏部屋を改装し、快適に短期滞在できる小さくて居心地がよい空間に変身させたのが、建築家のアントニオ・アウリジェンマさんだ。リビングを明るく開放的にしただけでなく、スペース節約のかしこい工夫を取り入れて、ダイナミックで柔軟性のある空間をつくり出している。
屋根裏部屋を改装し、快適に短期滞在できる小さくて居心地がよい空間に変身させたのが、建築家のアントニオ・アウリジェンマさんだ。リビングを明るく開放的にしただけでなく、スペース節約のかしこい工夫を取り入れて、ダイナミックで柔軟性のある空間をつくり出している。
ビフォー:オリジナルのアパートメントは、開放的なオープンプラン設計ではなかった。キッチンは分かれており、写真に見える戸口の奥に位置していた。現在と比べると、ずっと暗く狭く見える。梁は写真のようなダークトーンだった。
ビフォー:屋根裏に入ってくる階段。階下の入口は同じ位置のままで、階段とアパートメント自体をリノベーションしている。
ビフォー:オリジナルの階段は、転落防止用の低い壁と木製の手すりで仕切られ、スペースが狭く感じられる。
ビフォー:「狭くなるだけでなく、室内を暗く感じさせてしまうので、階段まわりの壁は撤去しました」とアウリジェンマさん。
アフター:階段は、屋根裏部屋の中心に位置するため大きな存在感がある。圧迫感が強くならないように、転落防止の壁は金属板を使ってデザインしたとアウリジェンマさんは言う。「この板はヒンジで動くので、必要ないときには横に倒して床の一部のようにすることができます。そうすると、空間の流れがよりスムーズになります。」倒した金属板の上は、人が歩いても大丈夫な強度がある。手すりはレール上に設置したスライド式で、階段の開口部に合わせて移動させることができる。
階段と手すりの最終的なデザインスケッチ
壁や天井の高さがまちまちであることも、このアパートメントの課題であった。天井がいちばん低くなる部分に、引き出し式ベッドが隠されている。
木製パネルを開いて小さなチェーンで固定すると、特注制作のベッドシステムが現れる。引き出し式のベッドは、快適なクイーンサイズだ。
ベッドが収納されているときにはベンチの役目をしている部分が、ベッドを支える台になる。
壁のユニット全体が、この家のため特別にデザインされたものだ。いちばん端には、洗濯乾燥機を隠して収容する専用スペースがある。
ビフォー:こちらはリノベーション開始前のキッチン。
アフター:現在のキッチンは、オープンに室内とつながっている。造りつけのキッチンキャビネットは長さ2メートルほど。キャビネットをアクセントにしたいというオーナーの希望で、アパートメント内のほかの家具とは対照的に黒を選んでいる。カウンタートップは黒いラミネート仕上げのアッシュ材。
ベッドの前には、90センチから2.8メートルまで広げることのできるコンソールテーブルがある。本体フレームが拡張し、その上に2枚の天板を追加する仕組みだ。下に見えている支えは本体構造の一部で、不要なときには簡単に本体にはめ込んで収納できる。
透明スツールは、座席のほか、就寝時にはベッドのサイドテーブルにもなる。
透明なスツール:カルテル
透明スツールは、座席のほか、就寝時にはベッドのサイドテーブルにもなる。
透明なスツール:カルテル
ダイニングエリアの右側には特注のクローゼットが並ぶ。
ほかのものほど独創的ではないかもしれないが、テーブルの向かい側にあるソファベッドも、1台で2役を兼ねるアイテムだ。
右側に見えるのはバスルームのドア。「高さ180センチと小さく規格外だったので、特注しました」とアウリジェンマさんは言う。
アウリジェンマさんは、家具類を新しくデザインしたほか、インテリアの色調と照明にも手を加えている。床には、工場であらかじめ仕上げを施したポストオーク材を使った。天井の梁は白く塗り直し、窓は細身のフレームで光を多く取り込むことのできる樹脂窓に取り換えた。照明は、長さ2メートルのLEDライン照明を、キッチン、ダイニング、リビングエリアの天井に1本ずつ、合計3本取り付けている。さらに、棟木の下に可動型照明を設置した。
ソファベッド:イケアの Friheten
右側に見えるのはバスルームのドア。「高さ180センチと小さく規格外だったので、特注しました」とアウリジェンマさんは言う。
アウリジェンマさんは、家具類を新しくデザインしたほか、インテリアの色調と照明にも手を加えている。床には、工場であらかじめ仕上げを施したポストオーク材を使った。天井の梁は白く塗り直し、窓は細身のフレームで光を多く取り込むことのできる樹脂窓に取り換えた。照明は、長さ2メートルのLEDライン照明を、キッチン、ダイニング、リビングエリアの天井に1本ずつ、合計3本取り付けている。さらに、棟木の下に可動型照明を設置した。
ソファベッド:イケアの Friheten
ビフォー:バスルームも改装した。こちらはオリジナルの状態。
アフター:トイレと洗面台を新調し、スペースを最大活用している。バスルームの壁一面を占める大きなシャワールームもある。
洗面台の後ろの低いタイル壁の上は、ちょっと物を置くのに便利な棚になっている。これは、工事過程でバスルームの配管を隠すための壁をつくることが必要になり、偶然にできたものだ。
この家では、やむを得ずつくられた構造のディテールも、多目的な用途を持つ大事なデザイン要素となって生かされている。
教えてHouzz
ご感想をおきかせください。
小さな暮らし方の記事はこちら
Houzzツアーをテーマ別に読むMy Houzz/日本/北米/中南米/ヨーロッパ/北欧/中東/アジア/オセアニア/新築/リノベーション/別荘/二世帯住宅
洗面台の後ろの低いタイル壁の上は、ちょっと物を置くのに便利な棚になっている。これは、工事過程でバスルームの配管を隠すための壁をつくることが必要になり、偶然にできたものだ。
この家では、やむを得ずつくられた構造のディテールも、多目的な用途を持つ大事なデザイン要素となって生かされている。
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どんなHouzz?
住まい手:ルクセンブルク在住のイタリア人の4人家族。親戚や友人の住むイタリアを訪れることが多い。
所在地:イタリア、ローマ、トラステヴェーレ地区中心地にある建物内
建築家:アントニオ・アウリジェンマ
改装費用:約53,000ドル(50,000ユーロ)。うちベッドシステムと周辺のウォールユニットに約4,300ドル(4,000ユーロ)、階段まわりに約3,800ドル(3,600ユーロ)を充てている。